JapaneseHowToReview

From TED Translators Wiki
Jump to: navigation, search

How to Tackle a Review を元に、日本語への翻訳の「レビュー」に取り組む際の手順・注意点を解説しています。

TED 翻訳に参加されたばかりの方は、まず翻訳からスタート してください。原則的に5本(×18分=合計約90分が目安)のビデオを翻訳または文字起こし(種別ごとにそれぞれ経験が必要です)して公開されるまでは「レビュー」タスクは取らないでください。

レビューとは、原文と訳文を付き合わせ、訳文が原文の内容を過不足なく反映しているか、自然な日本語で、字幕という制限の中で読みやすく誤解のないように仕上がっているかをチェックする工程です。 最低5本の翻訳が公開されたら、レビュータスクを取って公開に協力してあげましょう。

レビューとはどういうことをするのか、まずはこちらの短いビデオをご覧ください。

この記事にあるガイドラインの他にも、 上手にフィードバックする方法(英語)差し戻しの有効活用法(英語) を参考にしてください。

タスクを選ぶ

注意:5本以上翻訳が公開され、レビュアー(や承認者)から得たアドバイスをじゅうぶんに飲み込むまではレビュータスクを取らないでください。
[Perform Task(タスクに取り掛かる)] > [Start now(開始する)]をクリックします
[Translate ▼ tasks in TEDxTalks ▼ for 日本語 [ja] ▼ assigned to no one ▼]と、ドロップダウンリストを調整可

Amara にログインし、タスクリストからトークを選んでタスクを確保します。

TEDチームからタスクリストに行き着くと、最初はTEDトークのタスクのみが表示されますが、他にも色々な種類のビデオがあります。

  • TEDシリーズ:TED.com に掲載される、5分以内の短めビデオ
  • TED-Edシリーズ:教育現場向けのTED-Ed ビデオ、こちらも短め
  • TEDxトーク:TEDx イベントからのビデオで、タスクの数が多く、言語や長さも様々
  • TEDトーク:TED メインカンファレンスからのビデオで、じっくり取り組む必要あり
  • TED Translator Resources:ボランティア向けの情報ビデオ

「翻訳」と「文字起こし」はそれぞれの種別ごとに経験が必要ですので、翻訳が5本以上公開されていないと「翻訳」のレビューは取れませんし、文字起こしが5本以上公開されていないと「文字起こし」のレビューは取れません。

レビュアーの役目

レビュアーの役割は、訳文の解釈が正確で、文法的に正しく、字幕ルールに沿っているように調整するだけにとどまりません。誤字、誤訳をくまなく探し、長さや表記の面で読みやすいか、視聴者が理解しやすいか、等の観点からも字幕をチェックし、修正提案を行いながら翻訳者と一緒に字幕を仕上げてください。 さらに、初心者や経験の浅いメンバーに手順や慣例を案内し、質問に答え、親切で建設的なフィードバック(こちら(英語ページ)のガイド参照)を与える「メンター(相談役)」を務めるという役割もあります。 大幅な修正が必要であると思われ、翻訳・文字起こし担当者に十分修正可能な点は、すべてを自分が直してあげるのではなく、タスクを差し戻して(こちら(英語ページ)のガイド参照)本人に作業してもらうというやり方も推奨されています。その際は、どのような手直しが必要なのか、どうやって直せばいいのか、具体的な指示を送りましょう。

ヒント
  • いろいろな事情で翻訳者とコンタクトが取れないことがあります。10日ほど待ってもメッセージの返信を受け取れない場合には、レビュアー判断で仕上げてください。
  • 翻訳・レビューの観点をまとめたチェックリスト です。翻訳での見直しや、レビュー、レビュー後のフィードバックをするときの参考にしてください。
  • コミュニケーションが成立した後の、実際のやりとりには、Amara エディター内の Team Notes 欄を使っていただいても結構です。(Amara エディターを開かないと返事ができないので、Send back することが前提になります)
  • レビューのサンプルをご覧ください。

レビューのしかた

推奨されるレビュー手順

  1. まずは翻訳者と連絡をつけてください。このプロセスを円滑にするために、レビュータスクを確保した時点で、初めてやりとりする翻訳者の方に Amara でメッセージを送り、どのような方法でレビューを進めるかを相談することをおすすめします。その際に、10日ほど待ってもメッセージの返信がない場合にはレビュアー判断で仕上げる、など何らかの期限を明記しておき、万一連絡が来なかった場合、そこで行き詰まらずに先に進めることができます。Send back(差し戻し)は必ず、翻訳者さんとのコンタクトが成立してから行ってください。 慌てて Send back してしまい、翻訳者さんが対応できない場合、30日後には翻訳待ちのタスクに戻ってしまいます。こうなると、せっかくのレビューも翻訳も活きなくなってしまいます。
  2. トークを通しで視聴し、品質を検討します。あまりにも仕上がりが悪く、ほぼ全体を訳し直すことになってしまいそうな場合は、変更は入れずに翻訳者に差し戻し、どのような改善が必要かを説明して直してもらってください。レビュー可能な状態であれば、編集を始めます。
  3. よくある間違い(意味、誤字・脱字、不自然な表現、ガイドラインの表記ルールの逸脱など)を指摘し、修正します。字幕の順番に不都合が生じていたり、書き直したほうがいい場合を除き、翻訳者のスタイルを尊重し、なるべく元の文を残してあげましょう。
  4. 映像と合わせてチェックします。表現がひっかかったり、表示時間内に字幕を読み切れなかったりしたらビデオを止め、訳を直すなり短縮するなり改善していきます。読みにくい固有名詞、熟語表現、詩的表現など、読むのに時間がかかりそうな字幕の場合はさらに字数に余裕を持たせると視聴者に親切です。
  5. レビューを終了する前に、翻訳者との間でお互いベストだと納得できるバージョンに擦り合わせてください。
  6. 音声なしの字幕のみでトークを視聴して、もうこれ以上直しようがない、と思えたら、Approve ボタンを押して次の段階に進めます。自動承認対象のTED-Ed、TEDx(翻訳)ビデオに関しては、マージ(字幕の結合)も済ませてから承認に送ってください。

レビュー中のヒント

レビューでは、1行1行について様々な視点から検討し、改善案を出す必要がありますので、レビュー作業には、翻訳作業と同じくらい時間がかかることもあります。高品質の字幕を仕上げる責任は、翻訳者と等しく、レビュアーにもあるのです。 常に、字幕を仕上げた先には視聴者がいることを念頭に置いてレビューしましょう。原語を理解しない視聴者は、字幕だけが頼りです。日本語字幕だけを読んだときに、原語のまま聴いている現地の観客や、原語がわかる自分と同じ体験ができることが目標です。 翻訳者もレビュアーも両方がクレジットされますので、対等に議論し、双方が納得している必要があります。レビュアーとして名前が残るにあたって恥ずかしくない訳を送り出したいものです。

  • 意味のあるコメントを残す
一見して変更の理由が相手に理解しにくそうな提案や、典拠を示すことで説明がつく場合は説明してあげてください。「ABCに変えました」のように、見ればわかることを書くのではなく、「接続詞が入らないと唐突に聞こえる」など、相手の役に立つ具体的なフィードバックを入れてあげましょう。なぜそう変えたのか、元訳のどこがまずかったのか、読む人に親切なコメントを書きましょう。
  • 根拠を示す
語義や定訳が載っているサイトへのリンクや、同じ分野での修正された表現の実際の使用例など、相手が納得し、学ぶことができるソース情報を残してあげましょう。
  • 翻訳者自身の貢献を促す
特に始めたばかりの翻訳者や自信がない翻訳者は、レビュアーにお任せ状態になってしまうこともあります。また、レビュアーに直されたら受け入れなければいけないような気がしてしまう人もいるかもしれませんので、はっきりと言葉で相手の参加を促してあげてください。
  • ポジティブなコメントをする
レビューでのコメントは総じて、間違いやまずい訳の指摘に終始してしまいがちです。気が利いた表現、日本語にしにくい言葉を上手に訳しているなど、いいところを見つけてポジティブなフィードバックをしてあげてください。レビュアーが思う以上に翻訳者にとって励みになります。
  • 協力的な姿勢で取り組む
翻訳の正解は1つではないことがほとんどです。「この訳は不自然だ」VS「私は違和感ない」と押し問答になっては協働作業が成立しません。ただ自分の主張を通そうとするのでも、逆に自分だけが我慢するのでもなく、建設的な議論をしてください。語感には個人差がありますので、お互いの感覚を認め合って、二人とも納得できる答えを探しましょう。行き詰まったときは、原語・日本語両方で検索し直し、原文を読み直すことで理解が深まり、満足できる訳が見つかることもよくあります。
  • 双方納得できる訳が見つからない場合
行き詰まったときは、お互い同意のうえで、Japanese TED Translators フェイスブックグループに訳語の相談をしてもいいかもしれません。
どうしても落としどころが見つからない部分が残ってしまったら、承認ステップに申し送りをしましょう。
タスクが自動承認対象である場合、「第三者レビュー」や「承認レビュー」を依頼することができます。
万一、翻訳者との折り合いがつかないなど、困ったときは LC@ted-ja.com までご相談ください。


翻訳を仕上げるうえでの注意点

字幕の表記や体裁はガイドラインに沿っているか

TED字幕ルール早見表
字幕1枚の表示時間 1~7秒
1秒あたりの字数の上限 10 文字/秒
字幕1枚の行数の上限 2行
1行の字数の上限 21 文字
字幕開始タイミング 発声から100ミリ秒以上先行しない
改行位置 意味的なまとまりを切らない
字幕1枚の行のバランス なるべく均等に
字幕の構成 ある文の末尾と次の文頭を1つの字幕にしない(一方が完結している短文なら良い)
文の分け方 字数制限を超えない限り、1文を細かく分けすぎない
音の表記 (丸括弧で囲む)
画面上の文字の文字起こし [角括弧で囲む]
句読点 読点の代わりに半角スペース、句点の代わりに全角スペースを使う

日本語表記ガイドライン や右の「TED字幕ルール早見表」を参照して、スタイルを整えてください。

1行が21文字を超えない、1秒あたりの表示文字数が10文字を超えない(10c/s以下になる)ようにしてください。
  • 読みにくい固有名詞、熟語表現、詩的表現など、読むのに時間がかかりそうな字幕の場合はさらに字数に余裕を持たせると視聴者に親切です。

原文の意味を正確に、過不足なく伝えているか

  • その分野やトピック特有の定訳、固有名詞、一般的な表現を調べたか?
用語や固有名詞に日本語の定訳がある場合は、自分で勝手に訳を作らず、既存の訳を検討します。
固有名詞の表記を必ず確認し、人名や作品名などは、日本語の定訳がある場合はそれに合わせてください。( FAQ | 名前表記の調べ方の例
  • 原文の字幕の分け方につられて、構文を読み違えていないか?
字幕ごとにぶつ切りで訳していくのではなく、1つの文として意味を読み取ってから訳します。
  • 雰囲気や思い込み優先になっていないか? 脚色が過ぎていないか?
原文に忠実に、原文が示していること以上をむやみに付け加えないようにしましょう。
  • 多義語や曖昧な表現を、文脈に即した語義や意味と異なって訳出していないか?
1つ語義を知っている単語が、別の語義で使われていることはよくあります。英英辞典をあたって、文脈と用例から正しい意味を特定しましょう。
  • 話の展開、文脈に沿って理解できているか?
トークやビデオにはテーマや起承転結、ストーリーがあります。文や字幕を単体のみでとらえず、文脈や背景に沿った訳を心がけましょう。
順接、逆説などの展開を間違えないようにしましょう。
  • 誤解のない、明確な文になっているか?
意味が何通りにも取れる曖昧な文は避けましょう。
  • 単語の置き換えになっていないか?
読んだ人に何のことか伝わる表現になっていますか?
例:social and emotional arts-in-education development program
社会的で感情的な
芸術教育の開発プログラム
単語単語を置き換えただけでは何のことかわからないので、かみ砕いて訳す必要があります。
教育に芸術を取り入れて
社会性と情動を育てるプログラム

日本語の文として自然な口語になっているか

  • 日本語の文として成り立つか、文法の誤りはないか
字幕1つ1つに注目しすぎると、文としての整合性を見落としてしまうことがあります。
「てにおは」が間違っていたり、主語・述語が噛み合わない文を残していないか、文で区切って見直しましょう
ここで重要なのは
このアプリを家計簿としても
役立てることができます

「重要なのは」と始まったら、名詞形で終わらせないとおかしな響きになります。

ここで重要なのは
このアプリを家計簿としても
役立てられることです
  • 日本語として不自然な逐語訳文になっていないか
原語につられた不自然な逐語訳・翻訳調の文は、読む人に負担をかけ、読み続ける気を削いでしまいます。せっかく頑張って仕上げた翻訳のついたビデオをクリックしてくれた人が途中で視聴を止めてしまったら、スピーカーの価値あるアイデアを伝え、広めることができません。
コツは、スピーカーがもし日本で生まれ育った人だったらどういう言い方をするだろうか?と想像しながら書くことです。
  • 不要な語まで逐一訳出していないか?
日本語と英語は文法体系が大きく異なります。代名詞などの機能語を逐語的に一語一語訳出すると、くどく聞こえたり、場合によってはむしろ誤解を招きます。
例:When my father arrived in the USA, he only knew two words.
誤解の余地が少ないのはどちらでしょうか。
父がアメリカに着いたとき
彼はふたつの単語しか知らなかった
原文を見ないで日本語だけ見たら、恋人という意味の「彼」など別の男性の話にも解釈してしまうかもしれません。
父はアメリカに着いたとき
ふたつの単語しか知らなかった

字幕の内容やタイミングが映像と合っているか

日本語の語順は英語と逆になることが多いので、訳し上げるしかないこともありますが、スピーカーのジェスチャーやスライドと字幕の内容が関連している場合は、同時に表示するように工夫してください。
スプレッドシートを使って翻訳・レビューした字幕は、Amara にアップロード後、必ず映像と合わせてチェックしてください。
ヒント:映像に合わせた字幕の作り方を Amaraエディタ上で実演したビデオ

TED Translators Wiki 内の他の日本語ページ