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Revision as of 19:08, 20 June 2020 by Riakichi (talk | contribs) (翻訳者の役目とは)
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How to Tackle a Translationを元に、日本語への「翻訳」に取り組む際の手順・注意点を解説しています。「文字起こし」をしたい方はこちらをご覧ください。

リサーチは翻訳の基本です。必ずリサーチを欠かさず行い、分野、トピック、背景や文脈に合った、的確な訳語を選ぶよう、細心の注意を払ってください。辞書をひいても適切な訳語が見つけられない場合はこちらのガイド(英語)をご覧ください。

タスクを選ぶ

[Perform Task(タスクに取り掛かる)] > [Start now(開始する)]をクリックします

Amara にログインし、タスクリストからトークを選んでタスクを確保します。 TEDチームからタスクリストに行き着くと、最初はTEDトークのタスクのみが表示されますが、他にも色々な種類のビデオがあります。

注意:Review Japanese subtitlesとついているタスクは、レビュータスクです。5本以上翻訳が公開されるまでは取らないでください。
[Translate ▼ tasks in TEDxTalks ▼ for 日本語 [ja] ▼ assigned to no one ▼]と、ドロップダウンリストを調整可
  • TEDシリーズ:TED.com に掲載される、5分以内の短めビデオ
  • TED-Edシリーズ:教育現場向けのTED-Edビデオ、こちらも短め
  • TEDxトーク:TEDxイベントからのビデオで、タスクの数が多く、言語や長さも様々
  • TEDトーク:TEDメインカンファレンスからのビデオで、じっくり取り組む必要あり
  • TED Translator Resources:ボランティア向けの情報ビデオ

翻訳者の役目とは

翻訳するに当たって最も重要なのは、スピーカーが言おうとしていることを正確に日本語で表現する事です。また、スピーチのスタイルや人柄も意識した訳をつけます。

常に、視聴者を思いやりながら訳しましょう。原語を理解しない視聴者は、字幕だけが頼りです。日本語字幕だけを読んだときに、原語のまま聴いている現地の観客や、原語がわかる自分と同じ体験ができることが目標です。

焦らずに腰を据えて取り組み、ご自分にとってベストな状態でタスクを終了してください。レビュアーに訳し直しなどといった翻訳者の仕事をさせないよう、入念なリサーチと見直しを行ってから提出しましょう。 不備の多い翻訳は、数少ないレビュアーに大きな負担をかけるだけでなく、自分の仕事も増やすことになります。 15分間のビデオをきちんと訳すには、何時間も、何日もかかるものです。リサーチを怠らず、1行1行をじっくり考えながら翻訳しましょう。

翻訳の仕方

まずはじめにビデオ「翻訳の手順」をご覧ください。(日本語字幕あり)

推奨される翻訳手順

Amara にログインし、自分のタスクリスト から、Resumeをクリックしてエディターを開きます。

1. まずトークを視聴し、内容をしっかり理解します。わからないことがあれば調べましょう。Japanese TED Translators グループで、TED翻訳者仲間に相談することもできます。
2. 「この訳で原文の意味が伝わるだろうか?」「日本語として自然か?」「冗長になっていないか?」「原語を全く理解しない人も私と同じように内容を理解できるだろうか?」など、常に自問自答しながら訳します。
CharPerSec box JA2.png
3. 正しい体裁を意識してください。例えば、21文字を超えたら改行し、各字幕が10文字/秒を超えないように気をつけましょう。字幕をクリックすると、右手に字数情報が表示されます。
詳しくは画面上部の日本語早見表や、日本語表記ガイドライン に従ってください。
4. 字幕をビデオに乗せてチェックします。ひっかかったり表示時間内に字幕を読み切れなかったりしたらビデオを止め、訳を直すなり短縮するなり改善していきます。
レビュー用チェックリスト に、翻訳中の見直しにも役立つ観点をまとめています。
5. 完成したら一晩以上寝かせ、新鮮な目で見直すことで、不自然さやケアレスミスなど様々な不備に気づきやすくなります。
6. 音声なしの字幕のみでトークを視聴して、もうこれ以上直しようがない、と思えたら、Complete ボタンを押して次の段階に進めます。

翻訳中の注意点

字幕の表記や体裁はガイドラインに沿っているか

TED字幕ルール早見表
字幕1枚の表示時間 1~7秒
1秒あたりの字数の上限 10 文字/秒
字幕1枚の行数の上限 2行
1行の字数の上限 21 文字
字幕開始タイミング 発声から100ミリ秒以上先行しない
改行位置 意味的なまとまりを切らない
字幕1枚の行のバランス なるべく均等に
字幕の構成 ある文の末尾と次の文頭を1つの字幕にしない

(一方が完結している短文なら良い)

文の分け方 字数制限を超えない限り、1文を細かく分けすぎない
音の表記 (丸括弧で囲む)音情報は3秒を越えないようにしてください。
画面上の文字の文字起こし [角括弧で囲む]
句読点 読点の代わりに半角スペース、

句点の代わりに全角スペースを使う

  • 1行が21文字を超えないようにしてください。1秒あたりの表示文字数が10文字を超えない(10c/s以下になる)ようにしてください。
  • 読みにくい固有名詞、熟語表現、詩的表現など、読むのに時間がかかりそうな字幕の場合はさらに字数に余裕を持たせてると視聴者に親切です。

原文の意味を正確に、過不足なく伝えているか

  • その分野やトピック特有の定訳、固有名詞、一般的な表現を調べたか?
用語や固有名詞に日本語の定訳がある場合は、自分で勝手に訳を作らず、既存の訳を検討します。
  • 原文の字幕の分け方につられて、構文を読み違えていないか?
字幕ごとにぶつ切りで訳していくのではなく、1つの文として意味を読み取ってから訳します。
  • 雰囲気や思い込み優先になっていないか? 脚色が過ぎていないか?
原文に忠実に、原文が示していること以上をむやみに付け加えないようにしましょう。
  • 多義語や曖昧な表現を、文脈に即した語義や意味と異なって訳出していないか?
1つ語義を知っている単語が、別の語義で使われていることはよくあります。英英辞典をあたって、文脈と用例から正しい意味を特定しましょう。
  • 話の展開、文脈に沿って理解できているか?
トークやビデオにはテーマや起承転結があります。文や字幕を単体でとらえず、文脈や背景に合う訳を心がけましょう。
  • 誤解のない、明確な文になっているか?
意味が何通りにも取れる曖昧な文は避けましょう。
  • 単語の置き換えになっていないか?
読んだ人に何のことか伝わる表現になっていますか?
例:social and emotional arts-in-education development program
社会的で感情的な
芸術教育の開発プログラム
単語単語を置き換えただけでは何のことかわからないので、かみ砕いて訳す必要があります。
教育に芸術を取り入れて
社会性と情動を育てるプログラム

日本語の文として自然な口語になっているか

  • 日本語として不自然な逐語訳文になっていないか
原語につられた不自然な逐語訳・翻訳調の文は、読む人に負担をかけ、読み続ける気を削いでしまいます。せっかく頑張って仕上げた翻訳のついたビデオをクリックしてくれた人が途中で視聴を止めてしまったら、スピーカーの価値あるアイデアを伝え、広めることができません。
コツは、スピーカーがもし日本で生まれ育った人だったらどういう言い方をするだろうか?と想像しながら書くことです。
  • 不要な語まで逐一訳出していないか?
日本語と英語は文法体系が大きく異なります。代名詞などの機能語を逐語的に一語一語訳出すると、くどく聞こえたり、場合によってはむしろ誤解を招きます。
例:When my father arrived in the USA, he only knew two words.
父がアメリカに着いたとき
彼はふたつの単語しか知らなかった
原文を見ないで日本語だけ見たら、恋人という意味の「彼」など別の男性の話にも解釈してしまうかもしれません。
父はアメリカに着いたとき
ふたつの単語しか知らなかった
どちらが誤解の余地が少ないでしょうか。

字幕の内容やタイミングが映像と合っているか

日本語の語順は英語と逆になることが多いので、訳し上げるしかないこともありますが、スピーカーのジェスチャーやスライドと字幕の内容が関連している場合は、同時に表示するように工夫してください。
ヒント:映像に合わせた字幕の作り方を Amaraエディタ上でで実演したビデオ

翻訳が終わった後は

レビュー待ちの間のヒント

翻訳が終わったら、次は、レビュー資格のあるユーザーに「レビュー」してもらう必要があります。 翻訳のみが可能なユーザーに対して、レビューもできるユーザーは自然と少なくなるため、レビュアーが見つかるまで時間がかかる傾向があります。 仕上がりが良い字幕ほどレビュータスクを取る人は安心して取ることができますので、翻訳作業を丁寧に行い、ガイドラインの各項目に沿っているか、訳が正確か、分かりにくい日本語表現はないか、字幕の内容やタイミングが映像と合っているか、提出前に見直しましょう。みんなで気をつけてレビューしやすい高品質の翻訳を意識することで、コミュニティ全体のレビュー回転率も上がることになります。

レビュアーを見つけるヒントは、FAQの「翻訳が終わりました。レビューしてもらうにはどうしたらいいですか」をご覧ください。

レビュー中のヒント

レビュアーから連絡が来たら、必要な変更をレビュアーと相談しながら進めます。 提案された改善点を前向きに受け止め、品質に自信を持てる訳に仕上げてください。翻訳者もレビュアーも両方がクレジットされますので、対等に議論し、双方が納得している必要があります。

  • レビュアーの指摘や改善案をしっかり検討する
レビュアーも同じボランティアですし、人間なので決して完璧ではありません。誤った指摘・修正をするかもしれませんし、誤りを見逃すかもしれません。変更案も都度検討し、気になったら調べましょう。
変更理由が分からない場合、相手に意図を尋ねるなり、検索するなりすれば、適切な修正なのかどうかが見えてきます。
変更点を1件1件精査してレビューを終えたほうが、間違いから学んだり、より良い訳が思いついたりと、訳文にとっても翻訳者本人にとっても有益な経験になります。せっかく長い時間をかけて翻訳したのですから、あとはレビュアーにお任せ、ではなく、レビューという機会を利用して学習に役立てることが、翻訳者としてステップアップする近道といえるかもしれません。
  • 積極的にアイデアを出す
レビュアーの出した案に100%満足できない場合もあります。これをもっと磨けないか、もっと良い表現はないか、考えてみましょう。さらに良い訳が出てくることも珍しくありません。
翻訳が終了した時点では気づかなかった所を直したくなることもあります。レビュアーの手が入っていない箇所も、気になったら直して構いません。
  • 協力的な姿勢で取り組む
翻訳の正解は1つではないことがほとんどです。「この訳は不自然だ」VS「私は違和感ない」と押し問答になっては協働作業が成立しません。ただ自分の主張を通そうとするのでも、逆に自分だけが我慢するのでもなく、建設的な議論をしてください。語感には個人差がありますので、お互いの感覚を認め合って、二人ともハッピーな答えを探しましょう。行き詰まったときは、原語・日本語両方で検索し直し、原文を読み直すことで理解が深まり、満足できる訳が見つかることもよくあります。

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